日本が世界的なアーティスティックスイミングの潮流に追いつくための試みは、新体制の下で行われることになる。井村ヘッドコーチはテレビのインタビューで、日本代表の指導から退くことを明らかにした。

「若いコーチ達にも、譲るべきだと思っています。オリンピックはもう、これが最後」

「オリンピックの舞台は次のコーチに譲って、このスリルとドキドキ感と、プレッシャーの中でやり切る充実感を味わってもらいたいと思います」

　井村コーチは「本当にいい人生でした」と五輪で戦い続けた日々を振り返った。

「やりがいのあり過ぎる人生で、決して10回のオリンピックは長くもなかったし、苦痛でもなかった。気がつけば10回になっていただけです」

　井村コーチの去り行く背中に、大きな拍手を送りたい。

　シンクロナイズドスイミングからアーティスティックスイミングへと移り変わる中で、日本は一つの時代を終えた。まずは来年福岡で行われる世界選手権に向け、表彰台へ戻るための日本の新たな挑戦が始まる。（文・沢田聡子）

●沢田聡子／1972年、埼玉県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業後、出版社に勤めながら、97年にライターとして活動を始める。2004年からフリー。シンクロナイズドスイミング、アイスホッケー、フィギュアスケート、ヨガ等を取材して雑誌やウェブに寄稿している。「SATOKO’s arena」

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