都の担当者が指摘したとおり、スケートボードとBMXでの日本人選手の活躍は目覚ましいものがあった。特に、スケートボードはストリートで堀米雄斗、西矢椛が金メダル、中山楓奈が銅メダル、パークでも四十住さくらが金メダル、開心那が銀メダルを獲得した。BMXもメダルには届かなったものの、中村輪夢が5位と健闘。間違いなく「これから」が期待される競技だ。
■五輪用で「難易度」が高い
SNSなどでは、「スケボー、BMXブームは絶対くるだろうから、残すべき」「アーバンスポーツはただでさえ練習場所が少ない。競技に取り組む人の負担を考えると残してあげたほうがいいのでは」と好意的な意見が目立つ。
しかし、アーバンスポーツに詳しいスポーツショップに勤める男性はこう語る。
「有明アーバンスポーツパークを残すことは、もちろん賛成です。ただ、どちらの会場も、五輪用に作られたコースなので、難易度が高いんですよね。特にBMXはプロでも難しいコースです。おそらく今大会の影響で、アーバンスポーツをはじめようという人は増えるでしょうけど、そういう人たちはおそらく利用できないと思う。そこが少しもったいないですよね。もし、残すのであれば、初心者でも利用できるコースを別で作るか、現状のコースのつくりを変更するなどを考えないと、結局残したとしても、利用者は増えないような気がします。あと、BMXのコースの作りが『木造』の部分が多いのであれば、雨対策に絶対屋根も必要でしょうね。じゃないと、すぐに劣化してしまいますから。とにかく、何かしら手を加えないと今のままでは駄目でしょうね」
BMXの活躍も目覚ましかっただけに、心情的には競技施設を残してほしいと思う人も多いだろう。とはいえ、近年の五輪では誘致を優先させるあまり、大会終了後にあまり使用されることのない競技場が放置され続け、海外ではまるで廃墟のように報じられるケースも珍しくない。日本はそこまで放置されることはないはずだが、議論は必要となる。
開催するまでにさまざまな問題が浮上し、ドタバタ劇を繰り広げた東京五輪。大切なのは「前」だけでなく「後」も同じだ。(文/AERA dot. 岡本直也)