■取り組みの真偽 実績数値で確認

 また、「企業のガバナンス」を考慮した指数では、資本の効率的活用や投資者を意識した経営観点などの諸条件を満たした企業で構成される「JPX日経インデックス400」や、投資魅力の高い会社を構成銘柄とする「JPX日経中小型株指数」がある。

 設備投資や人材投資を考慮した指数には「JPX/S&P 設備・人材投資指数」、環境を考慮した指数として「S&P/JPXカーボン・エフィシェント指数」や「S&P/TOPIX150カーボン・エフィシェント・セレクト指数」などが参考になる。

 逆に、投資に際して注意すべき点もある。ESG投資に“便乗”しただけの企業の取り組みには、目を凝らさなければならない。

「ESGは“言ったもの勝ち”になりかねない。明確な定義はないからだ」(前出の徳島さん)

 さらに橋爪さんは、SDGsに積極的に取り組んでいるとしながら実態が伴わないケースも少なくないと指摘する。だからこそ、“見せかけ”にだまされないように、企業が掲げる具体的な目標だけでなく、その実績の数値などを開示させることが必要だとする。

 もっとも、どんな株式投資であっても「短期でもうけられるほど、この世界は甘くありません」(前出の香川さん)ということだけは肝に銘じておきたい。

 米国では近年、若い人のESG投資が増え、個人レベルでも変化が出始めている。

「日本でも若い世代は将来への不安を抱えており、年金は自分たちにはまわってこない、長期的に資産を形成しないと幸せな老後を迎えられない、と考えている。投資熱は強い」(前出の夫馬さん)というだけに、SDGsのかけ声によって若い世代を含めて投資が盛んになる環境ができつつある。

 社会貢献の満足感を得ながら、長期的な資産形成にも資する。これからの投資はさらにそんなスタイルが定着していくのかもしれない。(本誌・浅井秀樹)

週刊朝日  2021年8月20‐27日号

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