「長い投資となるメリットがあり、より投資リターンが上がる可能性がある」

 上場企業にとってのESG投資の魅力をこう指摘するのは、ニッセイ基礎研究所の徳島勝幸研究理事だ。環境問題や社会的課題は短期に解決できるものでなく、長期的な課題となる。従って、それを重視した投資も長期にならざるを得ないということだ。

 例えば、環境問題への対応には15年に合意したパリ協定がある。異常気象や海面上昇は、二酸化炭素やメタンなど温室効果ガス排出による地球温暖化が主因とみられている。その排出量を、できるだけ早期に実質ゼロにする必要がある。遅くとも75年には脱炭素化、できれば50年までの実現を目標として掲げる。

 世界がパリ協定を実現するには、16~30年の平均で年間6.9兆ドル(約760兆円)が必要だと日本政府は試算する。日本は50年までに温室効果ガス排出を実質ゼロにするため、30年度までに13年度比で46%削減すると表明している。温室効果ガスの削減は、SDGsで掲げる17の国際目標の一つでもあり、多くの企業が対応に乗り出した。

「地球温暖化など、さまざまなリスクが起きている。こうした問題に向き合っていかない会社は投資に値しないと判断される。逆に言えば、こうした社会の課題はビジネス機会になる」

 日本総研創発戦略センターの橋爪麻紀子シニアマネジャーはこう話す。洋上の風力発電設置などはハイリターンのビジネスになり得るとし、デジタル化で遠隔地でも楽に働けるようにしたり、保育や子育てといった社会的課題に取り組んだりするベンチャー企業も増えていると指摘する。

 とはいえ、国内のESG投資に関しては「まだまだ機関投資家が中心で、個人投資家が主流ではない」(橋爪さん)のが現状だ。

 では、一般の個人がSDGsを重視したESG投資をするには、何を参考とすべきなのか。

 東京証券取引所を運営する日本取引所グループのサイトによると、ESG投資の普及に向けた「健康経営銘柄」がある。従業員などの健康保持・増進の取り組みが企業収益を高める投資という視点から毎年、銘柄を選んでいる。

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