しかし、シーズン序盤とは違い、今ではチームも大谷には相当な気を配っているようだ。エンゼルスは8月6日からロサンゼルス・ドジャースとの交流戦を行った。この連戦は指名打者制度の無いナ・リーグに所属するドジャースの本拠地で行われたこともあり、この3試合においてはチームは大谷を代打でのみ出場させ、休養の機会を与えた。チームとしての打撃への心配よりも、体調面での心配の方が勝ったともいえる決断だ。

 そして現地では、この休養をきっかけに大谷が復調することを切に願っている。8月10日からは、本塁打王と打点王、そしてMVPレースでしのぎを削っている、ブラジミール・ゲレーロJr.が所属するトロント・ブルージェイズとの4連戦が本拠地アナハイムで行われている。大谷はMVP予想のオッズでも依然1番の人気を誇っている。しかし、このまま打撃不振が続けば、激戦を繰り広げるゲレーロJr.との直接対決次第で、MVP争いの状況が大きく変わってしまう可能性があることが指摘されている。

 大谷のファンとして知られる『FOXスポーツ』のアナリスト、ベン・バーランダー氏は出演したラジオ番組で、「このシリーズはとてつもなく大きな変化を呼ぶ可能性があります」と自身の予想を語っている。同氏は、大谷の二刀流での活躍の方が圧倒的に衝撃的ではあるものの、大谷の本塁打数(37本)まで残り2本に迫るゲレーロJr.が、エンゼルスとの連戦中に大谷を抜いたり、あるいは12日に登板する予定の大谷から本塁打を打てば、「MVP投票者の印象に残るかもしれない」という。

 一方、大谷がスランプに陥ってもMVPレースへの影響は少ないと予想するメディアもいる。エンゼルスの専門メディア『ヘイロー・ハングアウト』は9日、「大谷は打撃が不振になっても、マウンドでの活躍でそれを補うことができる」と述べた。

 確かに先述の通り、ここ最近の投手・大谷は圧巻だ。後半戦3試合の登板で現在2連勝中、防御率も2.93にまで下げ、与四球もわずか1つと抜群の制球力を見せている。同記事では、「マウンドでの大谷のパフォーマンスは非常に支配的で、スランプも許容し、MVPレースでも支配的なものになる」と断言する。

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