渡辺:ほんと? 野田さんは同世代なんです。
林:あのころ演劇界にニューウェーブがあって、もちろん渡辺さんもそうですし、野田秀樹さん、如月小春さん……如月さんは亡くなってしまったけど、その前につかこうへいさんがいて。
渡辺:つかさんはもう少し上の世代で、小劇団の第2世代なんですよ。第1世代が唐(十郎)さんとか寺山(修司)さんでね。私たちが2.5世代で、私たちより下の第3世代が鴻上尚史さんとか川村毅さんなんです。
林:演劇の黄金期ですよね。
渡辺:小劇場のファンが多くて、昔はテリトリーがあったので、一緒にやるなんてことは考えもせず、みんな「自分のところが一番」と思っていたんですよね。でも、しばらくたってからシャッフルされるようになってボーダーが消えたんです。つかさんや野田さんのところにもいろんな人が出るようになったり、(中村)勘三郎さんが歌舞伎に笹野高史さんを入れたり、歌舞伎も新劇もアンダーグラウンドも全部ボーダーレスになったのが20年ぐらい前かな。
林:このあいだの野田さんのお芝居に、前田のアッちゃん(前田敦子)が出てましたよ。満席でスタンディングオベーションでした。
渡辺:野田さんはイギリスに留学してましたから自然にあの感じでできるんですよね。同世代があんなに頑張ってくれているのは嬉しいし、毎年新作を発表してくれるのも嬉しい。それと、2カ月公演できるってすごいですよ。
林:えりさんのオフィス3○○はどうですか。
渡辺:3○○は2カ月もできませんね。残念ですが。今年の4月に渡辺えり事務所を立ち上げ、一人で頑張っています。年に2本は自分の作品を作りたいと思って。また舞台だけではなく、映画も作りたいと思って。お金にならないことばかり考えているので独立してやっていこうと。元々劇団の芝居は個人NGでやっていましたので、他の仕事もその延長になった感じですね。前から私一人でプロデューサー、作・演出をやって、そのつど自分で制作などのスタッフも呼び、役者もオーディションしたり、私の作品を好きだと言ってくれるスタッフや役者さんに依頼して作っていたんですが、劇団員も塾生も参加せず、本当に一人でゼロからというのは2年前の「私の恋人」という芝居からです。