1978年に劇団2○○(その後劇団3○○に改名)を結成して以来、40年以上、劇団に関わってきた渡辺えりさん。作家・林真理子さんとの対談では、演劇について語り合いました。
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林:私、渡辺えりさんとはデビューが同じころで、勝手に同期の桜だと思っているんです。
渡辺:「an・an」で対談したのが初対面だったんですよ。
林:そう。30年以上前ですよね。私、すごい親近感持っちゃって。地方出身同士ですし。
渡辺:林さんは山梨で、私は山形。あのとき、私は着の身着のままで、「紺のTシャツとジーンズだけしか持ってないんです」と言ったら同情してくださって。買ったばっかりで新品のスカートとか、たくさん私にくださったんです。それを今も持ってますよ。
林:そんなことを覚えてくださっていてうれしいです。そのあと、どんどんすごい女優さん、演出家になって、今度のお芝居(「喜劇老後の資金がありません」8月13~26日・新橋演舞場 9月1~15日・大阪松竹座)も楽しみです。高畑淳子さんとの共演ですね。
渡辺:高畑さんとは、1回も舞台で共演したことがないんです。
林:えっ、ほんとに?
渡辺:30年前から一緒にやりたいと思ってたんですけど、ほんとに機会がなくて。
林:一度も共演の機会がなかったって不思議ですね。
渡辺:同年代で、高畑さんは青年座で、私は小劇場で、「へえー、こういう人がいるんだ」と思いながら、彼女がどんどんうまくなっていくのを見てきたんですけど。
林:そうなんですか。これ、すごくおもしろそうなお芝居ですね。
渡辺:34万部売れた文庫本の小説が原作なのですが、音楽劇で、歌って踊って、ラップまであって、笑えるんです。50代で300万円しか貯金がない人の話を、夫婦や親子の関係を交えながら、おもしろおかしく2時間の芝居におさめて、(脚色・演出の)マギーさんが小説のいいところを凝縮して構成していると思うんです。
林:こういうお芝居のセリフって、すぐ覚えられるんですか。