渡辺:60歳から演劇塾を開こうと思って、古い家をローンで買ったんですよ。やっとそのローンが終わって、さあ始めようと思ったんだけど、いざ60歳になったときには東京の仕事が忙しくてできなかったんです。そして今度はコロナになっちゃって、またできない。事務所をやめたきっかけは、離婚をしたということもあったんですけど、独立した理由の一つは「毎月山形で演劇塾を開く」ということだったんですけどね。

林:そうでしたか。私、その昔、結婚披露宴に伺いましたよね。勘三郎さんが仲人で。

渡辺:あれ、300万の赤字だったんですよ。

林:そんなにご祝儀が集まらなかったんだ。

渡辺:演劇人って、ご祝儀が1万円っていう暗黙のルールがあるんですよ。それで会費制にして、1万円に設定したわけ。結婚コンサルタントの人に、事情を話して、あんまりハデ婚にして無駄遣いしたくないって言ったら、「そうは言ってもみんな3万円ぐらい持ってきますよ」って言うから、そのつもりでやったら、みんなきっちり1万円しか持ってこなかったの(笑)。それで300万の赤字。ただ、ラサール石井さんだけは10万円持ってきてくれました。

林:ちゃんと覚えてるんだ(笑)。

渡辺:覚えてますよ。すごい助かったもん。今でもラサールさんを見ると「10万円ありがとう」って思っちゃう(笑)。このあいだ山形に帰ったら、そのときの写真がたくさん出てきたんですよ。どこにも使えない写真がこんなにあるんだ、離婚しなきゃよかったなあって、ちょっと後悔しちゃった。

林:私、まだどうにか続いてますよ。今年で31年。

渡辺:私は23年で離婚しました。同業者だし、私のほうが年上で、私のほうが忙しかったりして、向こうは大変な思いをしてたと思う。今になってみれば。

林:これからまた誰かあらわれますよ。籍は入れなくても。

渡辺:そう思って探してるんですけど、なかなかいないですね。私と一緒に暮らせそうな人は。

林:でも、旅行に行ったり、楽しいときだけ一緒という人がいたらいいんじゃない?

暮らしとモノ班 for promotion
新型スマホ「Google Pixel 9」はiPhoneからの乗り換えもあり?実機を使って検証
次のページ