東京都の新型コロナの感染者数は13日、5773人になり、過去最多を更新した。重症の患者は前日から9人増え227人となり、こちらも最多となった。感染拡大が続いているが、感染力が強いとされるペルー由来の変異株「ラムダ株」が、7月20日に羽田空港へ到着した30代女性から国内で初めて検出されていたことがわかった。しかし、厚生労働省が公表したのは8月6日。検疫から公表まで2週間以上が経過したことになる。さらに、この女性は五輪関係者だと明らかになり、公表までの経緯に疑問も浮上している。
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女性はペルー滞在歴があり、検疫で陽性が判明。国立感染症研究所の解析でラムダ株と確認されたという。13日になって、この女性が五輪関係者だったことが明らかになった。共同通信が報じた。
ラムダ株は、ペルーで最初に見つかり、南米を中心に感染が拡大。世界保健機関(WHO)は6月に、「VОI(注目すべき変異株)」と分類している。
厚労省(検疫所業務管理室)は、AERA dot.の取材に対して当初、こう答えていた。
「公表が遅れた理由につきまして、ラムダ株は、国立感染症研究所がVOC(懸念される変異株)に位置付けていないためです。公表に至ったのは、8月6日時点でお問い合わせがあったのでお答えしたまでです。検疫事例においては、VOCの位置付けにある変異株が検出されたら、公表することになっています」
つまり、日本ではVOCに位置付けられていなかったがために公表していなかったということらしい。位置付けには、「国立感染症研究所の評価にしたがっている」と答えた。
現在、国立感染症研究所がVOCに位置付けているのは、アルファ、ベータ、ガンマ、デルタの4つの株。これらの変異株は、WHOが定めるVOCと同様だ。WHOではラムダ株をVOCに準ずるVOI(注目すべき変異株)に位置付けているが、国立感染症研究所のホームページによると、ラムダ株は、「検疫・国内では報告がないため、現時点ではVOCs/VOIsへの位置付けは行わず、ゲノムサーベイランスで発生動向を注視していく」(2021年7月6日時点)とある。
あるウイルス研究者は、次のように説明する。