YouTuberが通行人の女性に、「〇〇(実在するアダルト動画サイトの名前)で見た人や!」などと突然声をかけ、リアクションを撮影した動画を配信した。当然ながらネットで炎上して非難を浴びた。その後、YouTuberは動画を削除して謝罪したが、女性の顔にはモザイクがかかっていなかったといい、被害にあった女性にとっては迷惑どころの話ではないだろう。YouTuberたちに法的責任はないのか。こうした問題を扱う弁護士に聞いた。
【写真】記者に「俺の名前出してくださいよ!」と迫った迷惑系YouTuberはこの人
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騒動を起こしたYouTuberは、大阪を拠点に活動する「おこさまらんち」という3人組グループ。活動内容については、「今のYouTubeの現状にうんざりした3人がネットで常識の範囲内で好き勝手するチャンネルです!」などと紹介している。
問題となった動画は8月2日に配信されたもので、タイトルは「【神回】街中に居る女の子に『A○で見た人だ!』と叫んでみたらwww」。動画はすでに削除されているが、繁華街と思われる場所で通行人の女性に近づき、実在するアダルト動画サイトの名前を出して「〇〇で見た人や!」「絶対出てたあ!」などと大きな声で話しかけ、中には女性の前に寝転んで通行を妨害するような場面もあった。女性たちの顔にモザイクをかけるなど、画像処理も施されていなかったという。
なぜこうした撮影を行うのか理解に苦しむが、ネット上で批判が集まると、7日になって「おこさまらんち」の3人が動画で謝罪。正座して深々と頭を下げ、「その企画がいけないことだとは分からず、軽率な考えで実行してしまいました」などと釈明した。また、動画に映っていた女性の関係者から削除要請が来たため、動画を消したことを明らかにしていた。
動画を削除して謝罪したとはいえ、登場させられた女性たちはたまったものではない。YouTuberに法的責任はないのか。
ネットの風評被害などの問題を扱う「弁護士法人クローバー」の村松由紀子弁護士は、YouTuberの刑事責任について、
「街中という不特定多数の人が周囲にいる状況で、実在のアダルト動画サイトの名前を出し、『〇〇に出てた人や!』と叫ぶ行為は『公然と事実を適示して人の名誉を侵害した』として名誉棄損罪(刑法230条1項)が成立します」
と指摘する。