とはいえ1打席が勝負の代打で、結果を残すのは簡単なことではない。一軍復帰以降、交流戦中に1試合だけ指名打者でスタメン出場したのを除いて「代打専任」となったものの、6月18日までは10回の起用で単打1本。「スタメンの頃に比べると、運動量っていうのは絶対的に落ちますので、自分の中でやれる範囲のことは練習の中でやりたいっていうふうに思って」と、試合前の練習では外野をひたすら走ってランニング量を増やした。

 6月19日からの4打席で3安打を記録し、迎えた冒頭の広島戦。「ホントに今日、ここで打たなかったらもう出番ないなっていうぐらいの気持ちで入りました」というここ一番の場面で、初球から3球続けて打ちに行き、1球ボールを挟んで5球目の外角への変化球を、しぶとくセンター前に落とした。

「1日1打席の中でね、何か後悔を残したくないという思いはずっとありましたんで、自分の中でやれることを全てやって、その1打席を迎えたいって思いではずっとやってました」

 今季前半戦の代打での成績は21打数5安打、打率.238。もちろん数字も大事だが、代打としてのシーズン最多安打記録を持つ真中満元監督が、かつて代打の切り札について「期待して使ってるけど、そんな簡単に打てるもんじゃない。相手がセットアッパーだったりクローザーだったり、厳しい場面ばっかりだからね。年間で5回も(ヒットを)打てば十分」と話していたように、難しい役割の中で大事なのは「ここ一番での1本」だろう。

「当然ね、野球選手としてはスタメンで出てっていう気持ちは正直なところではあるんですけれども、最後に、ホントに1本のヒットで……僕自身のヒットなんてどうでもいいかもしれないですけど、そのヒットがチームの勝ちにつながるっていう役割を任されているんだという思いを持って、日々過ごしたいなっていうふうに思います」

 内川は7月6日の阪神戦(神宮)で、プロ野球史上53人目の通算2000試合出場を達成。さらに大杉勝男(日本ハムヤクルト)、落合博満(ロッテ中日ほか)、和田一浩(西武、中日)に次いで史上4人目の両リーグ1000安打にも、あと45本まで迫っている。

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