と、ここまでは重箱の隅をつつくようにスノーフォールの懸念材料を挙げてみたが、3戦連続でG1を圧勝したという事実は紛れもなく好材料。ステップレースで不覚を取らない限りは主役として凱旋門賞を迎えるのは間違いないだろう。
ではそんなスノーフォールのライバルになりそうなのは、どの馬なのか。春の時点ではその筆頭候補は同厩の1年先輩にあたる昨年の英愛オークス馬ラブだった。しかしラブは今年初戦の英G1プリンスオブウェールズステークスこそ勝ったものの、その後はキングジョージと英インターナショナルステークスでいずれも3着に敗れて大きく株を下げた。各ブックメーカーのオッズも17倍から21倍で、伏兵扱いに格下げされたと言っても過言ではない。
新たに最大のライバルへと浮上したのは同い年の英ダービー馬アダイヤーだ。英ダービーが人気薄での勝利だったため当時はフロック視する向きもあったが、キングジョージでは2着のミシュリフに1馬身3/4差、3着のラブに3馬身半差をつける快勝。あらためて実力を示し、前売りオッズも5倍から5.5倍の2番人気となっている。
なおキングジョージで不覚を取ったミシュリフはG1英インターナショナルステークスを6馬身差で制して名誉挽回したものの、前売りオッズは8倍から13倍で3番手から4番手グループの一角までしか人気を戻していない。
むしろ今年初戦だった8月初旬の愛G3バリーローンステークスを圧勝した5歳牝馬タルナワの方が6倍から7倍と評価が高くなっている。昨年はヴェルメイユ賞、オペラ賞、ブリーダーズカップターフとG1を3連勝したタルナワは、愛チャンピオンSから凱旋門賞へ向かう予定だ。
扱いが難しいのが仏二冠馬のセントマークスバシリカと愛ダービー馬のハリケーンレーン。セントマークスバシリカは7月のエクリプスSではミシュリフを3着に沈めるなど古馬相手にも実力を示しているが、調教中の故障で英インターナショナルSを回避した。今後は愛チャンピオンSへ向けて再調整するとのことだが、もともと中距離志向が強いこともあり、クラシックディスタンスの凱旋門賞には向かわない可能性も大いにある。距離不安は各ブックメーカーも感じているのか、前売りオッズはワンダフルトゥナイトとほぼ同じ9倍から13倍と実績ほどには人気を集めていない。