フタを開けてみれば、日本人選手のメダルラッシュに沸いた東京五輪。パラリンピックも24日に開幕し、選手村として使われる大型マンション「晴海フラッグ」の注目度も高まっている。だが“宣伝効果”は長く続かないという見方もあり、先行きは必ずしも楽観できなさそうだ。
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「ここからの眺めはとっても素敵」(ベルギーの女子陸上選手)
「(滞在中の)これまでのお気に入りは、選手みんなが道の真ん中で立ち止まり、夕焼けの写真を撮るのを見ること」(イスラエルの野球選手)
五輪期間中、各国の出場選手らがインスタグラムやツイッターといったSNSを通じて選手村での生活の様子や景色を写真や動画でアップすると、多くの人が「いいね」を押し、写真や動画を共有したりした。
新型コロナウイルスの感染対策で、選手たちは競技場や選手村の行き来以外の外出が制限された。選手村から見える景色は、競技や感染対策で強いられる緊張やストレスの癒やしとなったようだ。テレビ観戦するしかなかった市民らも、SNSを通じ選手の素の顔や声に触れることができた。
「予約の申し込みがたくさん寄せられています」
選手村にできる大型マンション群「HARUMI FLAG(晴海フラッグ)」の広報窓口を務める三井不動産の担当者は手応えを口にする。
今年6月、五輪延期のあおりでストップしていた展示場のモデルルーム見学会を、8月中に再開すると発表。同月6日に予約受け付けを始めると、申し込みが相次ぎ、すでに満席状態という。
晴海フラッグは、同社や三菱地所、住友不動産など大手不動産会社が連携して整備を進めてきた。東京・晴海にある三方を海に囲まれた、約13万4千平方メートルの広大な敷地に分譲約4100戸、賃貸約1500戸を合わせた5600戸余りが建つ大型物件だ。オリパラ終了後に宿舎などを改修し、入居者へ引き渡す。
これから新しく超高層のタワー棟もつくられる。周辺には小中学校や保育、商業施設、公園がもうけられ、都心部の虎ノ門や新橋との間を結ぶバス高速輸送システム(BRT)も整備される計画だ。