醤油せんべい1枚70円、1袋14枚入り980円。オンライン販売もあり
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 森鴎外が亡くなって今年で100年。その作品は、今なおファンの心をつかんで離さない。後半生を過ごした千駄木の街を歩くことで、作品世界をより一層強く心に刻み込む。そんな千駄木の中でも、鴎外とゆかりのある施設や店を紹介する。

【写真】新発見の『渋江抽斎』直筆原稿がコチラ

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■書生らと茶を飲みながら食べた煎餅

・菊見煎餅総本店

 明治8(1875)年の創業当初から、正方形の煎を売る。

「地(方形)に住まう人々に愛されるようにと、初代が考えたのです。祖母の話では、鴎外さんは書生と茶を飲みながらうちの煎餅を食べていたそうです」

 と、5代目店主の天野善之さん。創業400年を超える千葉県銚子市の老舗が造る醤油が、米のうまみを引き出している。

住所:東京都文京区千駄木3-37-16/営業時間:10:00~19:00/定休日:月

■『青年』に出てくる随身門が美しい

『青年』で随身門として紹介される楼門。国指定重要文化財である
『青年』で随身門として紹介される楼門。国指定重要文化財である

・根津神社

 藪下通りを南に下ると、突き当たりすぐに根津神社が現れる。『青年』にも、<社殿の縁には、ねんねこ絆纏の中へ赤ん坊を負って、手拭の鉢巻をした小娘が腰を掛けて、寒そうに体を竦めている>と登場。

 鴎外が日露戦争の戦利砲弾を奉納した時の台座が水飲み台として再利用されており(森林太郎の刻字あり)、鴎外や夏目漱石が散策中に腰を下ろしたとされる“文豪の石”もある。

 先頃、「舞姫」執筆当時に住んでいた台東区池之端の旧邸宅が、こちらに移築されることも決まった。

住所:東京都文京区根津1-28-9

■新発見の『渋江抽斎』直筆原稿を鑑賞する

新聞印刷の効率化のためか、原稿は幅10cm前後に分割
新聞印刷の効率化のためか、原稿は幅10cm前後に分割

・文京区立森鴎外記念館

 鴎外が30歳のときから60歳で亡くなるまでを過ごした邸宅・観潮楼。その跡地に記念館が建てられた。建物はモダンだが、庭には存命中からあった大銀杏の木や、鴎外が座り、幸田露伴、斎藤緑雨と写真を撮った“三人冗語の石”があり、往時の様子を偲べる。

 来年1月29日まで直筆原稿を中心とした特別展が開かれており、その目玉というべきが『渋江抽斎』。同作は新聞連載だったため原稿は早々に散逸したといわれていたが、昨年、全119回連載のうちの<その四十九><その五十>について情報が寄せられ、鑑定の結果、本物であることが確認された。新発見原稿が初公開されている。

住所:東京都文京区千駄木1-23-4/開館10:00~最終入館17:30/休館日:第4火(祝日の場合は開館し翌水休館。第4月・水が休館の場合あり)

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