俳優・脚本家の佐藤二朗さん
俳優・脚本家の佐藤二朗さん
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 個性派俳優・佐藤二朗さんが日々の生活や仕事で感じているジローイズムをお届けします。今回は、佐藤さんが最近手に入れたあるモノについて。

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 うーむ。

 いかん、いかんぞ。

 依存である。もはや、これは完全に依存である。

 生粋のアナロガーとして、いまだガラケーを駆使する俺だが、既報の通り、既報というか自分でいつかツイッターに書いたか、このコラムに書いた(どっちに書いたかはよく覚えてない)だけだが、要するに俺は、俺様は(←謎の威圧)、あ、ごめん、「俺様」で思い出したが、昔、当時4歳くらいだった息子と妻がアンパンマンごっこをしていて、当たり前のように悪役のバイキンマンにキャスティングされた妻が、魂のこもった渾身の演技で「我が輩は~」とずっと言ってたんだが、俺は心の中で「それ、正しくは、俺様じゃね?」と思ったが、あまりの妻の迫真の演技に圧倒され、正しくはドン引きして、結局言い出せなかったんだよなあ。懐かしいなあ。

 さあ。ノープランで思いついたことを思いつくままにつらつら書き殴るのは当コラムの平常運転だが、そのおかげで冒頭の「依存である。もはや、これは完全に依存である」という文がなかったことのようになってるし、正直俺も何が書きたかったか半分忘れかけてるわけだが、要するにミスター・アナロガーの俺は、俺様は(←もういい)、なんと今は、タブレットを使っているのだ。

 思いきり引っ張ったわりには全然普通のことじゃんと思うなかれ。いまだガラケニストの俺が、タブレットを使っているというのは、もはやなんだろう、未曾有の大事件(←俺界隈限定)なのだ。

 通い始めて20年以上になる行きつけの美容院で、あ、その美容院は俺と同世代の木原さんというご夫婦が営んでいるのだが、髪を切られてる時に、俺が初めて何気ない顔でおもむろにタブレットをやり出したらご主人は、

「!!!!!!!!!!、そ、そ、そんな、馬鹿な!!!!!!ちょ、ちょ、ちょっと!!○○(奥さまの名前)!!!き、き、来てみろ!!いいから来てみろ!!じ、じ、じ、二朗さんが!!じ、じ、じ、二朗さんがタ、タ、タ、タブレットをををおおぉおおをををおおおおおをををををを!!!!」

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てか、似合わない