コロナは日本政治の弱点を浮き彫りにした。最悪の現実を想定し先回りしてフォローする政治機能は不全で、感染対策の面からすればリスクの高い「Go To」トラベル事業や東京五輪・パラリンピック開催に全力を傾ける政治に、不信は深まっている。
パンデミックに敏感に反応し、合理的な対策を考える人もいれば、コロナは風邪だと笑ってマスクを外す人もいる。それが「社会」なのかもしれないが、そのような分断を生み出し深めてしまう政治の責任は重いはずだ。重大なことが隠蔽されているのではないか、優先事項がおかしいのではないか、うそをつかれているのではないか、以前と言っていたことが全く違うのではないか……そんな政治不信が情報不信になり、私たちを小さく分断していく。友人が突然陰謀論を語り出したときの衝撃は、かなり尾を引く痛みでもある。正直、悲しい。いつかコロナが終息したときに、あんなこともあったよね、あんたあんなバカなこと言ってたよね、陰謀論にはまってたねー、アハハばかね~!なんて笑える日がくることを今は祈るように待ちたい気分だけれど。まずは今の政治がキッチリ終わってくれることを待ちたい思いだ。人びとの不信を現実的な対策できっちりぬぐえるコロナ対策で政治の役割を果たせる人に、政治をやってほしい。友よ、お帰りを、待ってます!
■北原みのり(きたはら・みのり)/1970年生まれ。女性のためのセクシュアルグッズショップ「ラブピースクラブ」、シスターフッド出版社「アジュマブックス」の代表