このコラムを読んでいただいている多くの方は、「指切りげんまん」という童謡をご存じかと思います。
「指切りげんまん、嘘ついたら、針千本の~ます 指切った!」というあの歌です。
子供の頃、「針千本」というフレーズがとても怖かったのを覚えていますが、最近の子供たちもこの歌を歌っているのでしょうか?
この歌の由来は、江戸時代の遊郭にあるそうです。遊女が、自分のひいきのお客さんとの約束の際に、こうした歌を歌っていたとか。その際に、自分の小指の先を切って渡していたという説もあるようです。
ちなみに「げんまん」とは、漢字で「拳万」と書き、こぶしで一万回殴るという意味とか。
こぶしで一万回殴られた上に、針を千本も飲まされるなんて、想像しただけで恐ろしくて、絶対に約束を破る気にはなりませんよね。
「針千本」といえば、魚の世界にも「ハリセンボン」という魚がいますよね。
フグ目ハリセンボン科に分類される魚で、その恐ろしい名称にもかかわらず、くりくりっとした愛らしい目と、おちょぼ口が可愛らしく、威嚇するときにぷくっと膨らんだ姿も、怖いというより愛敬がありますよね。
ところで、「ハリセンボン」の針の数は、本当に千本もあるのでしょうか?
あの針はウロコが変化したもので、実際の数は300本から400本程度だそうです。「看板に偽りあり」ですよね。
余談になりますが、「ハリセンボン」という人気の女性お笑いコンビがいます。彼女たちの名前の由来は、「普段はおとなしく可愛いけど、怒ると怖い」ということだそうです。筆者は直接お会いしたことがありませんので、「名前に偽りあり」なのかどうかは、判断できませんが…。
では、漢字で「百足」と書くムカデの足はどうでしょうか?
種類によって足の数が違うようですが、おおむね30本から80本程度で、やはり100本には足りないようです。ムカデを英語でいうと「centipede」で、これはラテン語で「百の足」ということだそうです。ヨーロッパでも百本の足に例えられているんですね。
他にも「ハリセンボン」と同じく、針を身にまとった海の生き物として、「ウニ」がいます。ウニの針の数はどのくらいでしょうか?「ムラサキウニ」の針の数は、3千本程度あると言われていて、ハリセンボンよりはるかに多いようです。