「『自分なら、どう声がけされたら心を開くだろう』『どんな声がけだったら嫌になるだろう』といった、心の距離感のようなものをいつも考えています。声のトーンというものは、人間関係をつくっていくうえで大切な要素なのかな、と」

 映画を中心に活動しながら、近年はテレビドラマにも出演する。「凪のお暇」(2019年)では見栄っ張りの女性社員を、「岸辺露伴は動かない」(20年)では事故で夫を亡くしたシングルマザーを演じた。テレビドラマに出演する際は「“情報”をいかに面白く伝えられるか」をテーマの一つとしているという。

「そうすることで、身体がセリフを口にすることを覚えていく。ぎこちなさが消え、セリフを発することが難じゃなくなるんです。すごく鍛えられるな、と」

 一方、映画の撮影では「役を生き、呼吸をしている喜び」を全身で感じている。

「長回しの多い作品で育ってきたこともあり、長回しが大好きなんです。映画は、表現者として『いてもいいんだ』と思わせてくれた場所。表現することを認めてもらえたことが、素直に嬉しい。映画は特別なのかなって思います」

(文中敬称略)(ライター・古谷ゆう子)

AERA 2021年9月13日号

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