ただ、すでに河野氏の“弱点”としてキレやすいことが指摘されており、ツイッターでは気に入らないフォロワーをブロックすることにも疑問の声が上がっている。こうした点は、首相の資質として問題ではないのか。

「各府省の官僚たちを相手に、河野さんと一緒に行政事業レビューをやっていたのですが、刑事ドラマみたいに、河野さんが若い刑事役のように突っ込んでいって、私はカツ丼で落とすような役まわりになっていたんです。だけど、河野さんが『自分ももう若手ではないからそろそろ役回りを変わってくれ』というのでチェンジしたんです。そうしたら、私がキレる前に河野さんがキレちゃって(笑)。確かにキレやすい面はありますが、それは責任ある役人の答弁があまりにいい加減な時だけです。それ以外でキレているのを私は見たことがありません。」

 石破氏に近い関係者によると、石破氏自身はまだ出馬への意欲が完全に消えたわけではないという。今後の動向はどうなるのか。政治ジャーナリストの角谷浩一氏はこう語る。

「石破さんが(出馬を)迷っているのは事実です。政策もすでにつくってありますし、推薦人の20人も確保できています。二階派の議員からは『出馬しろ』という声も上がっていますが、まだ決めかねている。石破派の中で河野さんの支持を表明している議員は、そんなに多くはない。河野さんに引きずられて、石破派が全面支持に回るという状況ではありません」

 一方で、河野氏は所属する麻生派の幹部たちを説得にまわっているという。

「派閥の領袖である麻生太郎財務相をはじめとして、麻生派の大半は河野さんではダメだと思っている。とはいえ、他派閥の若手は河野さんを支持しており、党内の若手は河野さんに集中する可能性がある」(同)

 最後に、平氏はこう言う。

「石破さんが決断するのは土壇場でいいと思う。選挙の当落線上にいる自民党議員100人のうち、1人でも当選に導けるのは誰なのか、誰と誰が組むべきなのかを真剣に考える必要があります」

 はたして、石破氏はどのような決断をするのか。それによって、自民党総裁選がどう転ぶかはまだまだわからない。(AERA dot.編集部・上田耕司)

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上田耕司

上田耕司

福井県出身。大学を卒業後、ファッション業界で記者デビュー。20代後半から大手出版社の雑誌に転身。学年誌から週刊誌、飲食・旅行に至るまで幅広い分野の編集部を経験。その後、いくつかの出版社勤務を経て、現職。

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