次期衆院選では「前首相」の肩書となってしまう菅首相。次期衆院選は遅くとも10月末から11月にかけて投開票日となる。横浜市長選の最大の争点はカジノではなく、コロナ対策だった。緊急事態宣言が30日まで延長され、横浜市長選から2か月あまりで、投票傾向が大きく変わることは考えにくい。自民党の横浜市議はこう話す。
「自民党の神奈川県連幹事長が総裁選で『菅首相の応援はできない』とマスコミにコメントしているので、次期衆院選は菅首相自身が前面に出て、選挙活動しなきゃいけません。SPに囲まれて、大名行列のような選挙戦になるのでしょう。ますます、イメージが悪くなりますよ。自民党で首相をやった人が小選挙区で負けたとなれば、前代未聞でしょう」
神奈川2区では、立憲民主党の元職の岡本英子氏、共産党の新人、明石行夫氏が出馬する予定だ。岡本氏は神奈川3区が地盤だった09年の衆院選では、小此木氏を破って、小選挙区で初当選を果たした実績もある。立憲幹部がこういう。
「共産党と話をして野党統一候補にする方針だ。菅首相を相手に小選挙区で勝てば、それこそ政権交代に一歩近づく。今なら、勝てる」
昨年の総裁選で菅首相を応援した、無派閥の国会議員はこう話す。
「正直、次期衆院選で菅首相の応援演説を頼む候補者はゼロでしょう。応援にくれば、有権者が離れてしまう。19年の参院選で、広島選挙区へ河井案里氏の応援に何度も行き、パンケーキまで一緒に食べていた。挙句の果てに菅側近だった河井克行氏がカネをばらまいて逮捕でしょう。その印象が強烈ですからね。訪米を花道に政界引退された方がいいのでは……。菅首相の後釜として神奈川2区を狙っている人もいると聞く」
横浜から祇園精舎の鐘の声が聞こえてきそうな光景のようだ。
(AERAdot.編集部 今西憲之)