第二に、大差をつけてフロリダ州知事に再選したロン・デサンティス氏(共和党)の人気上昇ぶりだ。
投開票日直後に共和党支持者に対して行ったニュース専門局MSNBCの調査によると、24年の大統領選挙で投票したい人は、トランプ氏35%に対し、デサンティス氏が42%と大きく上回った。
18年中間選挙では、トランプ大統領(当時)はデサンティス氏を推薦し、選挙集会に駆けつけたほどの親密な関係だった。しかし、今は「ロン・デサンクティモニアス(偽善的に信心深いようにみせる人)」とあだ名を付けて対抗心を見せる。デサンティス氏に先行して有権者にアピールしたいという狙いが見え隠れする。
さらに、大統領退任時に機密文書を違法に自宅に持ち帰った疑いなどでトランプ氏に対する司法当局の捜査が全米で進んでおり、訴追されれば立候補の権利を奪われる可能性がある。出馬表明をしておけば、訴追された場合、支持者に対して「魔女狩り」だと陰謀論で説得することができる。
「トランプ党」として振るわなかった中間選挙結果を忘れさせ、デサンティス氏を牽制(けんせい)し、訴追前に花道をつける──。中間選挙で苦戦という最悪のタイミングをショーのように演出するのは、トランプ氏にはお手のものだ。(ジャーナリスト・津山恵子=ニューヨーク)
※AERA 2022年11月28日号