イスラエルでは3回ともファイザー社製ワクチンを同量打っている。チリは最初の2回はシノバック社製、3回目はアストラゼネカ社製、ウルグアイは最初の2回はシノバック社製、3回目はファイザー社製だ。
英国やドイツ、フランス、シンガポールなどの政府も、9月にもブースター接種を始めたいと発表している。まず高齢者らリスクの高い人から接種を始める国が多い。米国も当初はその方針だったが、1日の新規感染者数が10万人を超え、バイデン大統領は、接種完了後8カ月以上経った18歳以上全員を対象に、20日の週にもブースター接種を始めると方針転換した。
イスラエルや米国のように、一般の人にまんべんなくブースター接種をするという方向性について、ワクチンや公衆衛生の専門家は批判的だ。
欧州疾病対策センター(CDC)と欧州医薬品庁は、9月1日に出したブースター接種に関する中間報告でこう指摘する。
「同じ3回目の接種でも、免疫抑制状態にあって2回だけでは十分な免疫ができていない可能性の高い、高リスクの人に効果を補うために行う追加接種と、2回の接種で十分な免疫がついた人の効果をさらに増強するためのブースター接種とは、明確に区別して考えるべきだ」
免疫抑制状態にあるのは、抗がん剤治療を受けていたり、臓器移植後に免疫抑制剤を飲んでいたり、免疫が十分に機能しない持病があったりする人たちだ。
■3回目接種は必要か
欧州CDCは、免疫抑制状態にある人への3回目の接種はすぐに検討を始めるべきだとした。また、より慎重な感染予防が必要な、重症化リスクの高い、心身の状態が悪い高齢者、特に高齢者施設など密になる環境を避けられない場所にいる高齢者への追加接種も検討することは可能だとしている。
一方、それ以外の人へのブースター接種については、「緊急に打つ必要性はない」とした。既存のワクチンは、デルタ株に対しても重症化や死亡を防ぐ効果があることに加え、18歳以上の欧州諸国の国民の約3分の1がまだ接種を終えておらず、相対的に重症化リスクが高いからだ。完了していない人への接種を最優先するべきだと強調した。