その公判で、滋賀県が無罪判決を否定するような書面を裁判所に提出していたことが明らかになった。
問題となっているのは「被告滋賀県第1準備書面」という9月15日付の書面だ。AERAdot.が入手したその書面を見ると、確定しているはずの無罪判決を滋賀県が認めないとも思える内容で大きな批判があがっている。
再審の無罪判決のポイントは、男性患者は病死で、事件ではない可能性を指摘した点だ。
<(男性患者は)不整脈や、たん吸引が行われなかったことでの低酸素状態が死因となった可能性がある。事件性は認められない>とした。
当初、犯行を認めて自白をしていた西山さんの供述調書については、<(西山さんの)供述は患者の死亡への関与など重要な点で、大幅に変遷。自白の供述調書は客観的な証拠と矛盾し、信用性に重大な疑問>
<(西山さんには)知的障害、愛着障害が見られ、迎合的な供述をする傾向がある。(警察官が)誘導的な取り調べを行い、自発的な供述ではない>として、再審の判決では信用性を否定、証拠採用せず、無罪判決としている。
だが、問題の書面で滋賀県は、<とくに被害者(男性患者)の死亡は「病死」であり、犯罪を窺わせるような異常は存在しなかったとの主張については否認>
無罪判決で男性患者は「病死の可能性」があるとして、西山さんの無罪理由の一つに挙げていることを争うというのだ。
続けて、<被害者(男性患者)を心肺停止状態に陥らせたのは、原告(西山さん)である>とも主張している。
無罪判決が確定していながら、西山さんを犯人だと言わんばかりの驚きの内容だった。