リクルートブライダル総研「夫婦関係調査2021」/性・年代別に定数にてサンプルを回収し、集計の際に実際の性・年代別既婚者の人口構成に合わせるために、サンプルに重みづけを行った(ウエイトバック集計)。数値(構成比・割合)は、一部を除きウエイトバックによる補正後の件数で算出したもの。また、小数点第2位以下を四捨五入しているため、構成比が100%にならない場合もある
リクルートブライダル総研「夫婦関係調査2021」/性・年代別に定数にてサンプルを回収し、集計の際に実際の性・年代別既婚者の人口構成に合わせるために、サンプルに重みづけを行った(ウエイトバック集計)。数値(構成比・割合)は、一部を除きウエイトバックによる補正後の件数で算出したもの。また、小数点第2位以下を四捨五入しているため、構成比が100%にならない場合もある

 この点について、若い世代の男性にリアルな意見を聞いてみた。

「上司など年長の世代は『嫁』呼びが圧倒的に多い。同世代でも使う人は使うので不自然とは思わないが、自分自身は『嫁』という単語とは無縁。たとえば、『姉が結婚する』という言い方はしても、『姉が嫁に行く』『姉が嫁ぐ』という古い感じのフレーズはまず使わない。他人に話すときは『名前』か『妻』が基本」(29歳・IT)

 また、妻による「主人」「亭主」といった呼び方が10年前との比較では激減。とくに50代、60代の妻による減少が大きかった。代わりに「旦那・旦那さん」呼びが増えた。これにはジェンダー平等の意識が影響しているとみられる。

 実際に、次のような声もあった。

「そもそも、『主』という字が使われているのが不愉快。主従関係や上下関係を連想させる言い方に感じられるため、抵抗感がある。夫婦は対等な関係で、べつに夫が妻よりえらいわけじゃない。呼び方も対等でなければダメ」(44歳・公務員)

「祖父母や両親世代の呼び方で、古くさい感じがするから」(35歳・設計)

 金井さんは次のように分析。夫婦のあり方に対する意識の変化が大きく影響しているという。

「妻側の意見にみられるように、主人という言葉の感じが『カッコ良くない』『抵抗がある』などの理由から、時代にそぐわない呼び方と考える人が多いようですね。配偶者はパートナーという考え方がこの10年でいっそう深く世間に浸透したいま、夫を『主人』と呼ぶことに若い世代のみならず、広い世代で抵抗を感じる人が増えたと考えられます。その点、『旦那』という呼称は、『ダンナ』のような軽い感じでとらえられるぶん、まだ抵抗がないのかもしれません』(金井さん)

「日本はまだまだ男社会だ」という批判は令和の現在も根強い。しかし一方で、「夫婦の呼び合い方」からは、時代とともに一人ひとりの意識が確実に変化していることを改めて認識することができた。

(取材・文/スローマリッジ取材班 山本真理)

金井良子(カナイヨシコ)/リクルートブライダル総研研究員。リクルートにて「じゃらんnet」「ゼクシィnet」など数々のネットサービス立ち上げと運営に携わる。2004年10月より「ゼクシィnet」編集長、2010年4月より現職。「GOOD WEDDING AWARD」運営責任者や“ブライダル専門家”としてテレビ番組でのアドバイザーを務める。

※(株)リクルートが運営するリクルートブライダル総研における「夫婦関係調査」 夫婦関係の満足度や夫婦関係に対する考え方など、結婚後の夫婦の意識と行動を把握するために、2011年より行なっている調査。本調査では、性・年代別に定数にてサンプルを回収し、集計の際に実際の性・年代別既婚者の人口構成に合わせるために、サンプルに重みづけを行った(ウエイトバック集計)。数値(構成比・割合)は、一部を除きウエイトバックによる補正後の件数で算出したもの。また、小数点第2位以下を四捨五入しているため、構成比が100%にならない場合もある。

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