また、模擬試験の判定についてはあくまでも目安であり、参考程度にしたほうがいいという。
「実際の合否とあわせると外れることも多く、あまりあてにならないと考えています。これまでお話ししてきたように、医学部は国公立と私立、あるいは各大学で問題の形式、傾向がかなり違う。ここに面接などの要素も入ってくる。模試でA判定だった生徒が不合格だったり、E判定だった生徒が合格したりするケースが出てくるのはこのためです」(同)
模試の結果に一喜一憂せず、目の前の課題にひたすら取り組むことが大事だということだ。
◆Q 国公立大のみをめざしているが、「慣らし」として私立大も受けるべき?
「私立大は学費が高すぎるので、国公立大の受験だけを考えている」という受験生は一定数いるだろう。国公立大は前期日程1校、後期日程1校しか受けられない。日程の異なる防衛医科大学校などは別として、私立大を受けなければ、ぶっつけ本番で個別学力試験に挑むことになる。こうした点から、問題傾向は異なるものの、私立大もいくつか受けたほうがいいと考えるのは当然だろう。
「私立大の医学部は共通テスト終了日の2日後くらいから始まり、2週間以内にはほとんどが終わります。国公立大前期日程の前に余裕をもって終わりますので、スケジュール的にも問題はありません」(同)
ただし、最近は首都圏難関私立大と国公立大の併願者が増えており、「慣らし」で受ける受験生はそれほど多くないことも事実。難関私立大は学費も比較的安く抑えられ、成績優秀者には奨学金を設けていることが多いので、よく調べた上で、「本気の受験」を検討してみてもいいかもしれない。
七沢英文さん/医学部専門予備校YMS執行役員、校舎責任者。医学部受験指導歴は35年。YMSが発行する「Latticeーいい医者になろう!」編集長。
(文/狩生聖子)
※週刊朝日ムック「医学部に入る2022」より

