自民党総裁選の投開票がいよいよ9月29日、行われる。世論調査などでは、河野太郎ワクチン担当相が先行し、岸田派会長の岸田文雄前政調会長が2番手、高市早苗前総務相と野田聖子幹事長代行が追う展開だ。
郵送の党員投票は28日に締め切られ、残すは国会議員投票のみだ。昨年9月の総裁選では、菅義偉総理をいち早く推した、二階俊博幹事長と安倍晋三前総理、麻生太郎副総理兼財務相がキングメーカーとして存在感を示した。安倍氏は今回、高市氏支持を表明しているが、麻生派と二階派は自主投票。1回目の投票で過半数を獲得する候補者がなく、決戦投票となる可能性が高い。
「派閥の駆け引きが、水面下で火花を散らしている。2回目の決戦投票で誰がキングメーカーになるのか。総理の椅子同様に激しいね」
こう話すのは、自民党の閣僚経験者だ。その手にはどの候補者に票を投じるか、個別の国会議員の名前が明記された「星取表」があった。
見せてもらうと、調査ではトップを走る河野氏は約110票、岸田氏が約140票、高市氏が約90票、野田氏が22票という数字が出ていた。議員票の総数は382票、まだ30人ほどの議員が態度保留という。
「星取表」には、「T」と「K」というマークが議員ごとに手書きされている。「T」は河野氏で「K」は岸田氏を意味するそうで、決戦投票でどちらに投じるかという票読みだという。
「1回目の投票は1位が河野氏、2位が岸田氏でほぼ確定。高市氏が2位に食い込むという下馬評もあったが実際は厳しい」(前出の閣僚経験者)
こうした結果が出て総裁選のキングメーカーたちの動きも慌ただしくなった。
「安倍氏が高市氏の支援を依頼する電話、“アベノフォン”をここ数日はやめたそうだ。高市氏はどうやっても2位には入れないと悟り、周囲にブレーキをかけはじめた。星取表を見ても、高市氏を推すと言っていた議員が急に岸田氏に流れている。当初、星取表では高市氏支持だった人数が100人とされたが、90人を切るまで落ちている」(前出・自民党の閣僚経験者)