最近、新たにレシピ本『10年かかって地味ごはん。』を販売した料理家の和田明日香さん。同著では決して“料理上手”とは言えないレベルから、地道に努力してきた和田さんの10年間の料理の記録について記されている。AERA 2022年11月21日号の記事を紹介する。
【写真】和田さんのスタジオに飾られていたミニチュア。よく見たら義母・平野レミさんの「レミパン」?
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料理家・和田明日香さんの近著『10年かかって地味ごはん。』(主婦の友社)に発売前から予約が殺到、現在22万部。レシピ本としては異例の売り上げだ。9月上旬に発表された「料理レシピ本大賞2022」で、同書は料理部門に入賞した。義母が料理愛好家の平野レミさんであることでも知られる。
もっとも、結婚するまで和田さんは料理に無関心で、経験もそれほどなかった。
「結婚するまで『料理上手!』ではありませんでした。レタスとキャベツは同じ葉っぱ、アサリとシジミとハマグリは同じ貝で大きさが違うだけだと思い込んでいたぐらい(笑)」
結婚した後も、平野レミさんから直接指導を受けたわけではなく、当初は独学で料理を勉強したという。
「何を聞けばいいのかさえわかりませんでしたし、あまりにも初歩的な質問をするのは失礼だと思ったからです。まずは、人に質問できるぐらいのレベルまで作れるようになろうと」
■レシピ本は私の履歴書
家族のためのごはん作りを通じて経験を蓄積していった和田さん。冒頭で触れた著書は、言わばその集大成だ。
「売りたいという気持ちは正直あまりなく、10年間試行錯誤してきた中で、こんな料理をしてきたという“履歴書”みたいなイメージで作った本です」
日々、包丁を握るうちに料理は少しずつ上達したが、しばらくの間はテレビや雑誌の出演依頼があっても断っていた。
「まだまだ自分の料理は、お金をいただくレベルには達していないと思っていたからです。そんなとき、夫が『何か資格を取れば自信がつくんじゃない?』とアドバイスをくれました」