「チームの雰囲気が変わった。勝てない時期の雰囲気はお世辞にも良くなかった。中畑監督が就任してからは練習中から騒がしいくらい声が出るようになった。また明るさと同時に勝負への執着心や厳しさも出てきた。少しでも手を抜いたプレーをした選手はすぐ外された。プロとして最低限のことが徹底されたことが積み重なり、結果につながったのだろう」(DeNA球団関係者)

 中畑氏自身も、巨人での現役時代はレギュラー定着も決して早くはなかった。世代交代の過渡期のチーム内で練習によってレギュラーの座をつかみ、その後チームの中心選手となった。ケガに泣かされることもあったが、明るさを失わず「絶好調」と叫びながら居場所を掴んできた。DeNA監督として若手選手に自らを投影させながら、温かく、時には厳しく接してきた。

「選手、関係者など周囲への気配り、配慮がすごい。自分自身が現役時代に苦労したからかもしれない。細かいところまでよく見ているしコミニケーションを欠かさない。交代させたり二軍行きを命じた選手には、いつも直接、理由を説明していた。裏方さんへも気を遣ってくれる。あの監督ならついて行きたくなります。監督退任を発表した時には、涙を流している人がたくさんいた」(DeNA球団関係者)

「必ずネタを提供してくれた。負けた後など話したくない日もあるだろうが必ず対応してくれた。熱を帯びてくると(公の場で)話してはいけないことまで口にすることもあり、慌てて『今の書かないで』ということも度々。試合前などは必ずオヤジギャグで笑いを取ろうとする。本当にやりやすい監督だったのでマスコミ関係で悪く言う人を見たことがない。現場に帰ってきてくれるのを待っている人は多い」(横浜担当記者)

 選手、球団関係者やマスコミだけではない。ファンサービスも素晴らしく、時間が許す限りサインや写真撮影に応じるのは当たり前の光景だった。テレビカメラ等が回っていないところでは態度が急変する選手、監督も少なからずいるが、中畑氏に関しては裏表がないことでも有名だった。

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