放送作家・鈴木おさむさんが、今を生きる同世代の方々におくる連載『1970年代生まれの団ジュニたちへ』。今回は、キングオブコントで空気階段がみせたコントの痛快さについて。
【写真】くりぃむ上田に「天才」と称されながら25年間パッとしなかった芸人はこの人
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キングオブコントを見させていただきました。妻と妻の友人と家で一緒に見た。いや~、おもしろかった。全組おもしろい。レベルが高すぎる。
空気階段の一本目のコントは涙を流して笑ってしまいました。なんだろう、あの気持ちよさは?と考える。
それから数日後、若手芸人の方々と、とあるお仕事をしていました。キングオブコントのファイナルにも出ていたあるコンビがいました。そのコンビは、相方が女装しているコントがあり、以前は、コントの中で女装した相方が出てきた時には、「うわ、なんだこいつ!!」みたいなリアクションにしていたのだが、最近はそういうリアクションを削ったのだと言う。時代の変化に合わせたのだとか。若手芸人のコントでもそういうことを考えて作らなければならないのだ。
そんな話をしていると他のコンビが、テレビのネタ見せの時に、一人がカタコトの日本語を話す外国人の設定だったのだが、スタッフから「その設定をやめてほしい」と言われたらしい。外国人差別になるという判断だろう。まさか、もう、それもダメだとは……。
ここ数年で、テレビにおいて、表現できることは確実に削られていると思う。5年前だったらOKだったことが、今はOKじゃない。
より、さまざまなコンプライアンスを意識しながら作らなければいけない時代。その時代に文句を言うつもりもないし、そこに合わせていくべきだと思う。
で、空気階段のコントに戻るのだが、あのコント。パンツ一丁でSMクラブに来ていた客同士が、火事の中、建物の中を勇敢に逃げて行くという設定。人の容姿をいじるわけでもない。一見下ネタっぽい設定なのだが、物語は勇敢な消防士と警官の話。コンプライアンスに引っかかりそうだが、引っかからずに、コンプライアンスの炎から逃げきっているのだ。