裸なのに、SMなのに、うまいことコンプライアンスには引っかからない。
一休さんの「そのはし渡るべからず」な感じというか。
この時代に、いろんなものを通り抜けてそれをコントで表現していることの通快感があった。
それがあったから余計に僕の中で気持ちよく大笑いをした気がする。高校の時に初めて映画「ダイハード」を見た時の気持ちに似てるんだよなー。
ちなみに、6歳の息子は、いつも家のテレビでユーチューブを見ている。ユーチューブ以外の時は、Netflixかディズニープラス。
その日は息子に「今日は、3時間、テレビ見るからね」と言ってキングオブコントを見た。
息子はipadでユーチューブを見ながらも、テレビの大画面でユーチューブを見たい様子。途中、駄々をこねたりする。
キングオブコントが終わり、妻が「もうテレビで見ていいよ」と言うと、大急ぎでリモコンを取り、テレビでユーチューブを見始めた。
その姿を見て思う。昔は家族でリモコンを取り「チャンネルの奪い合い」なんてことをしたものだが、今はリモコンを奪い合うが、チャンネルの奪い合いではなく、「サービスの奪い合い」なんだなと思う。
地上波のライバルはめちゃくちゃ増えた。とんでもない数です。その中で、コンプライアンスを潜り抜けながらも、まだテレビで爆笑できるものは作れるのだと、パンツ一丁の2人に勇気をもらえた気がする。
■鈴木おさむ(すずき・おさむ)/放送作家。1972年生まれ。19歳で放送作家デビュー。映画・ドラマの脚本、エッセイや小説の執筆、ラジオパーソナリティー、舞台の作・演出など多岐にわたり活躍。パパ目線の育児記録「ママにはなれないパパ」(マガジンハウス)が好評発売中。毎週金曜更新のバブル期入社の50代の部長の悲哀を描く16コマ漫画「ティラノ部長」と毎週水曜更新のラブホラー漫画「お化けと風鈴」の原作を担当し、自身のインスタグラムで公開中。コミック「ティラノ部長」(マガジンマウス)は10/4に発売になった。「お化けと風鈴」はLINE漫画でも連載スタート。YOASOBI「ハルカ」の原作「月王子」を書籍化したイラスト小説「ハルカと月の王子様」が好評発売中。長編小説『僕の種がない』(幻冬舎)が発売中。