つまり、今回の広告を見るほとんどの方は、「今日の仕事は、楽しみですか。」という問いに、(楽しみじゃないよ…)と思うのです。本来は、そこから「ですよね!そこで、私たちの会社が、あなたの仕事を楽しくさせるサポートをしたいのです!」と話が発展すべきなのですが、今回の広告では、そこまでの対話がなされにくかったことと、一部が拡散されてしまったことが問題でした。タクシーの車内広告や電車内の広告など、少なくとも10秒程度は受け手が見続ける媒体だったら、反応も異なったと考えられます。

 最後に、広告がSNSでの反響やメッセージ、コメントでの訴えによって取り下げられたことです。広告のコンプライアンスが、従来のものよりもSNSの観点からチェックしなければならないことは、現代的な広告マーケティングで重要になっています。あえて炎上させる手段や、煽ることで話題にする広告もありますが、SNSに精通していないと企業イメージは悪くなります。

 仕事が楽しい人にとっては、仕事が楽しくない人の思考回路が理解できないのかもしれません、逆もまた然りです。炎上の原理は、倫理的に間違っていることよりも、世間と認識がずれているからこそ起こることの方が多いと思います。自分の感覚、社内の感覚だけではなく、より多くの立場の人にとってどう受け取られるかを、より考慮しなければならない時代なのだと思います。

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