ヤマト新艦長となる古代進(c)西崎義展/宇宙戦艦ヤマト2205製作委員会※西崎義展の“崎”は正しくは大の部分が“立”です
ヤマト新艦長となる古代進(c)西崎義展/宇宙戦艦ヤマト2205製作委員会※西崎義展の“崎”は正しくは大の部分が“立”です

「さらば~」は乗組員たちが壮絶な死を遂げ、ラストシーンでは主人公の古代進が自らの命を犠牲にして地球を守るというストーリー、そして沢田研二の歌う流麗なバラード「ヤマトより愛をこめて」……多くの観客の感動を呼んだ。氷川さんは言う。

「今でいう“全滅エンド”、バッドエンドなのかもしれませんが、それゆえにみんなが感動した作品になったわけです」

 その余韻がまだ残る同年の10月にテレビでスタートしたのが「宇宙戦艦ヤマト2」。「ヤマト2」は、「さらば」の設定やストーリーを踏襲しつつ、“全滅エンド”にはならない展開でまとめた作品となった。

「『2』は、『さらば』とは別の結末をたどる物語となり、ここでヤマトシリーズの分岐が発生することになります。当時の『新たなる旅立ち』は、『2』の続編となる作品です」(氷川さん)

「宇宙戦艦ヤマト 新たなる旅立ち」が放送されたのが、79年7月31日。翌80年8月には映画「ヤマトよ永遠に」が公開、同年10月からテレビ版新作「宇宙戦艦ヤマトIII」放映と、その後もヤマトの旅は続く。

 最新作となる「宇宙戦艦ヤマト2205 新たなる旅立ち 前章 -TAKE OFF-」について、氷川さんは語る。

「今回の作品は、位置付けとしては『新たなる旅立ち』に相当するのですが、『永遠に』の要素や、新人が入ってくるエピソード、新たなる敵となるボラー連邦の存在など『III』の要素も少しずつ含まれ“3個イチ”状態としての大きな再編成が試みられています」

(本誌・太田サトル、菊地武顕)

週刊朝日  2021年10月15日号より抜粋

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