最新技術を駆使した「宇宙戦艦ヤマト」のリメイクシリーズ最新作「宇宙戦艦ヤマト2205 新たなる旅立ち 前章 -TAKE OFF-」が上映される。シリーズと最新作に込められたメッセージとは。新たなる航海へ「ヤマト、発進!」。
【前編/最新作「宇宙戦艦ヤマト」公開! ’77年のヒットで“アニメ”の名が浸透】より続く
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「宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち」からシリーズ構成と脚本を担当しているのが、「亡国のイージス」や「機動戦士ガンダムUC」などを手掛けた福井晴敏さん(52)。「宇宙戦艦ヤマト2205 新たなる旅立ち」は、主人公・古代進の再生がひとつの大きなテーマでもある。
「『2202』で古代の命を救うために、結果的に地球は経済的にも軍事的にも大きなダメージを受けてしまった。その責任と運命を背負う古代は、自分個人の幸せは追い求めてはいけないのではないかと思い詰めています。そこからどのようにして精神的なリハビリをして、もう一度前を見られるようになるか。そこを描かずにそのまま『2205』を始めてしまうと、『2202』と全くつながらなくなる作品となるので、そこは意識しました」
福井さんは、リメイクシリーズの地球の状況を、現代のわれわれが向き合う状況とも重ね合せる。
「現代日本、とくに2011年の震災以降に置かれた状況ときちんと対照させたいという思いがありました。明日どうなるかわからない、今の日本の状況と同じような状況に、『2205』の地球はある。現実の空気との親和性を保ちながらシリーズの連続性を持たせて描いていきたかった。脚本はコロナ禍の前に書き終わっていたのですが、不思議なもので、結果的にコロナ禍以降の世界に向けて作ったお話のようにもなっています」
「宇宙戦艦ヤマト」の1作目に大きな衝撃を受けた福井さんだが、当時の「新たなる旅立ち」の放送は、実は途中までしか見られなかったという。
「次の日が林間学校で、朝5時に学校に集合しないといけなかったんですよ(笑)。小学生としてはさすがに最後まで見ることはできなくて、大人になってビデオで見るまで、最後どうなるのか知りませんでした。ヤマトシリーズを、子供から大人まで幅広く見られるシリーズにしていく転換点のような作品でした」