計算上、田嶋会長に倣って“楽観論”を貫くと、次戦オーストラリア戦での勝利を条件に11月以降の6試合を4勝2分けで突っ走れば、同じレギュレーションで行われた前回の最終予選と同じ勝点20に到達する(2018年アジア最終予選グループB、1位日本:勝点20、2位サウジアラビア:勝点19、3位オーストラリア:勝点19)。だが、それは簡単なミッションではない。吉田麻也、冨安健洋の鉄壁のセンターバックコンビがいる限り引き分けの数を増やすことは可能だろうが、勝利するためには得点が必要であり、それに至る攻撃、組み立ての形を3年もかけて作れなかった指揮官とそのチームに、今後1カ月での劇的な変化は期待できない。

 3年間チームを率いた森保監督の選手選考および起用は硬直化してしまっている。攻撃の形が個人能力頼みの現状、選手を入れ替えればチームは変わるだろうが、それならば監督を交代する方が手っ取り早く、効果的だ。オーストラリア戦が終わっても、「まだ6試合」あり、グループ3位となればプレーオフも戦うことになり、負けられない状況は続くのだ。繰り返しになるが、求められるのは勝利である。そのためには日本代表の頭上に漂う澱んだ空気を一変させ、勢いを掴むこと。サッカー界には“解任ブースト”という言葉があり、それに頼らざるを得ないのは残念ではあるが、効果は必ずある。

 そもそも日本代表の目標は「W杯ベスト8以上」だったはず。11日に決勝戦が行われた欧州ネーションズリーグを見る限り、世界のレベルはさらに上がっている。アジア相手に効果的な手を打てない監督が、その世界舞台でチームを勝利に導くことができるだろうか。赤信号にならないうちに早急に決断すべきだ。