日本代表の森保一監督 (c)朝日新聞社
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 2022年カタールW杯のアジア最終予選を戦う日本代表が、10試合中3試合を終えて1勝2敗と大苦戦。グループBで3連勝スタートを決めたオーストラリア、サウジアラビアの上位2カ国から勝点差6を離され、早くも7大会連続出場に黄信号が灯った。

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 この崖っぷちの状況に、日本サッカー協会の田嶋幸三会長は「まだ3試合が終わっただけで最終予選は7試合が残っている」とし、「日本全体でサポートしていきたい。下を向くことなく、気持ちを切り替えて、次の試合に向けて準備をしてほしい」とコメントを発表した。だが、次戦12日のオーストラリア戦(埼玉)でも敗れると出場権が自動的に与えられる2位以内は絶望的となり、森保一監督の更迭は避けられない状況となっている。

 改めて、ここに至った状況を整理したい。W杯ロシア大会終了後の2018年7月にA代表に発足した森保ジャパン。そこからしばらくは勝利を重ねて評判も上々だったが、2019年2月のアジア杯決勝でカタールに完敗(1対3)して勢いを失うと、同年6月に参加したコパ・アメリカでグループリーグ敗退。そして同年11月の親善試合・ベネズエラ戦での1対4の大敗、さらに同年12月の韓国戦での0対1敗退で戦術的な無策ぶりを露呈。2020年のコロナ禍と欧州遠征での“堅守”による健闘が、その問題を先送りにすることになったが、メダルを逃した東京五輪での采配にも疑問符が付けられ、このアジア最終予選での不甲斐ない戦いぶりで一気に「解任論」が噴出した。

 渦中の森保監督は、サウジアラビア戦後に「ベースの部分の方向性は間違っていない」、「描いてきているサッカーについては間違っていないと思っている」と語ったが、今求められるのは、何よりも“勝利”である。好プレーに対する拍手とメモ書きではなく、チームを鼓舞する強い言葉と勝利への情熱だろう。さらに付け加えるならば、試合の状況を的確に読み、選手交代で流れを変えられる能力が必要だ。これまで起用してきた選手に対する理解と愛着があるのは理解するが、それで勝てるほど勝負の世界は甘くない。「良い人」では非情な決断をできず、その「甘さ」が致命傷になる。

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