安倍氏(左)、麻生氏(中)、甘利氏(右)の頭文字をとって「3A」。岸田首相と「3A」の関係が今後の政権運営にも大きく影響しそうだ(c)朝日新聞社
安倍氏(左)、麻生氏(中)、甘利氏(右)の頭文字をとって「3A」。岸田首相と「3A」の関係が今後の政権運営にも大きく影響しそうだ(c)朝日新聞社
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 支持率の「ご祝儀相場」を期待して発足直後に総選挙に踏み切った岸田首相。だが、ふたを開けてみると低い数字。そして「3A」の影響も影を落としている。AERA 2021年10月18日号から。

【写真】岸田内閣は事実上の「第3次安倍内閣」と指摘したジャーナリスト

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「冴(さ)えない数字だな」

 ある自民党中堅議員がポツリとつぶやいた。手にしていたのは岸田文雄首相のもとで新内閣が誕生し、初めての世論調査を伝える新聞記事だった。大手新聞各社の世論調査では朝日新聞(支持率45%、不支持率20%)、毎日新聞(支持率49%、不支持率40%)。また自民党への支持が高めに出る傾向にある読売新聞(支持率56%、不支持率27%)、日経新聞(支持率59%、不支持率25%)でも支持率は60%を超えることはなかった。

■総選挙前に高揚感なし

 朝日新聞の世論調査で比べても、菅内閣発足時の支持率65%には遠く及ばない。2008年の麻生内閣の発足時(支持率48%)よりも低い。この数字をどう見ればよいのか。

「自民党は総選挙を前に、圧倒的に国民人気があり、普通であれば選挙の顔として申し分のない河野太郎氏を降ろしてまで、岸田氏を選んだ。つまり、選挙よりも権力闘争を優先したのです。そもそも岸田氏の異名は『地味な普通のおじさん』。その人柄を素直に反映した数字ではないでしょうか。ここまで数字が出ないと不安になりますね」(前出の中堅議員)

 最も危機感を募らせるのは第2次安倍政権時代、いわば「安倍旋風」に乗って当選した1、2回生議員だ。特に選挙区(地元)という地盤を持たない比例選出の議員は、時々の政権支持率に翻弄される。彼らに話を聞くと、

「解散・総選挙を前に党内でも高揚感が全く感じられない。どちらかというと、総裁選の方が盛り上がった」

衆院選のための内閣だとすれば、総理を筆頭に顔ぶれが地味すぎる。官房長官は誰?と言われても顔と名前が出てこない」

 などの発言が続く。仮に今回の世論調査の結果が「ご祝儀相場」だったとすると、本当の数字はどの程度なのか。そして、総選挙に向けて、岸田政権の支持率はどう推移するのか。足かせになるのは、やはり安倍政権時代の「疑惑の温床」と党内でも呼ばれる安倍晋三・元首相、甘利明氏、麻生太郎・前財務相の「3A」の存在だ。

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