■野党からの追及は必至
安倍氏は「桜を見る会」の前日の夕食会をめぐり、元秘書らについて検察審査会が「不起訴不当」と議決。これを受け東京地検は再捜査する。副総裁の麻生氏は、「森友学園」への国有地売却をめぐる財務省の決裁文書改ざん問題では、当時の同省トップであり当事者と言える。近畿財務局の元職員で自殺した赤木俊夫さんが書いて残したとされる「赤木ファイル」を巡って、遺族と国との間で裁判が続いている。また、幹事長に抜擢された甘利氏は、都市再生機構(UR)の土地の補償交渉に絡んで、千葉の建設会社の担当者から100万円を受領したことを認め、その後、経済再生担当相(当時)を辞任した。後に、刑事告発を受けた東京地検特捜部は甘利氏を不起訴処分としたが、国民に対する甘利氏の説明責任は果たされていない。
10月11~13日の衆参両院での代表質問では、これらの疑惑が野党に追及されることは間違いない。辻元清美・立憲民主党副代表は、岸田政権の顔ぶれを皮肉たっぷりに「軽量級」と切り捨て、こう続けた。
「何か新しい疑惑が出る前にふたをして解散いってまえ、と言わんばかり。これでは疑惑隠し選挙と言われる。今からでも遅くない。予算委員会を開きましょう」
これまで安倍・菅政権下では「政高党低」と言われたが、岸田政権では「党高政低」になると言われている。つまり、「3A」が党の要職に復活し、牛耳るということだ。「安倍傀儡(かいらい)」というイメージを岸田首相はどう脱却するのか。解散・総選挙に向け、秋の永田町は風雲急を告げる。(編集部・中原一歩)
※AERA 2021年10月18日号