(AERA 2021年10月18日号より)
(AERA 2021年10月18日号より)

池上:コロナ前はヨーロッパでも極右政党への支持率が伸びていました。それが今は、たとえばドイツでは社会民主党が議席を伸ばしている。危機の時代だからこそ、国家の役割を再認識したわけです。その流れでいうと、日本でも本来は野党に追い風が吹いていると考えていい。

山口:そうなんです。ただ、日本の場合は野党に信用がないでしょう。自民党政権がコロナ対策で失敗したからといって、国民はすぐに野党に代えてみようとは思わない。

池上:「共産党は左の公明党」という話で言えば、自民党と公明党の選挙協力では「比例代表は公明党で」と言えない自民党候補者もいました。それでも、ある程度のすみ分けはできていた。野党共闘の場合、立憲民主党の議員は「比例代表は共産党に投票を」とは言えないでしょう。

山口:そこが今回の選挙協力の限界です。ただ、共産党にとっても犠牲を払うだけでは協力できない。難しい課題です。

■国民民主は強い拒否感

池上:立憲民主党に共産党が協力するメリットは何があるんでしょうか。

山口:共産党が小選挙区の候補者を減らすということは、比例票にとってはやはりマイナスになる。そこを補う共産党への期待をどう盛り上げていくのかを考えなければいけないです。

池上:テレビ東京の総裁選特番で立憲民主党幹事長の福山哲郎さん、国民民主党代表の玉木雄一郎さん、そして共産党書記局長の小池晃さんの3人と話す機会がありました。小池さんが玉木さんに向かって、「一緒にやっていこうじゃないですか」と突然呼びかけたんですね。そこで私が「共産党からラブコールが寄せられましたが」と玉木さんに振ると、非常に困惑されていました。

山口:ははは。

池上:小池さん、みんなの前で国民民主党に呼びかけているんだ、すごいなと。

山口:共産党は本当に変わりました。この5~6年は、自分たちの組織力を活用して影響力を高める戦略にかじを切ったと思います。そもそも共闘は、委員長の志位和夫さんが「国民連合政府」という言葉を使ったところから始まった動きで、党としても後に引けない状態です。

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