岸田文雄前政調会長(当時、右)は9月29日、自民党総裁選で新総裁に選ばれ、菅義偉首相(当時、左)とともに両手を上げる(c)朝日新聞社
岸田文雄前政調会長(当時、右)は9月29日、自民党総裁選で新総裁に選ばれ、菅義偉首相(当時、左)とともに両手を上げる(c)朝日新聞社
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 岸田文雄新内閣が発足の勢いで衆院解散に踏み切る。野党は共闘して対抗する。だが、支援団体・連合の共産党への抵抗感が根強いなど足並みの乱れも見られる。AERA 2021年10月18日号で、現状を鋭く分析するジャーナリスト・池上彰氏と政治学者・山口二郎氏が語り合った。

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──衆院選に向けて、立憲民主党、共産党、社民党、れいわ新選組の野党4党が共通政策を打ち出す「野党共闘」の動きも生まれています。山口さんは、市民団体「安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合」(市民連合)として野党の政策合意を進めてきました。

池上:もし野党が前回の衆院選で一本化していれば、自民党に代わって議席を取っていたという選挙区が結構な数あるんです。

山口:今回は289の小選挙区のうち、半分以上にあたる180区ほどで一本化できると思います。前回の結果に当てはめると、小選挙区の過半数をめぐる戦いになります。

■共産党は「左の公明党」

池上:山口さんは最近の著書のなかで、共産党を「左の公明党」という言い方をされていました。

山口:ははは。小選挙区は、ある種の政党の淘汰(とうた)をもたらします。自民党は約20年前に自公協力の形で政党ブロックを作りました。野党はと言うと、旧社会党から保守系までを含めた民主党が一種の政党ブロックで連合体でしたが、すぐ瓦解(がかい)してしまいました。

池上:それから2015年の安保法制反対運動を起点として、今の立憲民主党、共産党、社民党のブロックができたということですね。

山口:ある意味、安倍長期政権のおかげで、多少の違いはさておき手を組むしかないと。古い言葉で言えば、人民戦線ということです。

池上:懐かしい言葉が出ました。令和の人民戦線ですね。

山口:アメリカの民主党やドイツの社会民主党など、コロナ禍のなか、政府の役割を積極的に位置づけて社会を支援する路線が復活しつつあります。私はそういった路線を目指したいと考えています。目指すものは、とっぴな革命路線ではないんです。

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