東京8区からの出馬を断念したれいわ新選組の山本太郎代表(C)朝日新聞社
東京8区からの出馬を断念したれいわ新選組の山本太郎代表(C)朝日新聞社
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 衆院選で東京8区から出馬宣言していたれいわ新選組の山本太郎代表が10月11日、発言を撤回し、波紋を呼んでいる。8日に出馬宣言し、たった4日間で断念に追い込まれた「山本劇場」の舞台裏を取材した。

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「まあ、うちが批判を浴びそうだったので、山本氏が降りてくれて助かった」

 立憲民主党(以下は立民)の幹部は胸をなで下ろした。横浜市で行った断念表明の演説で山本氏は東京8区から出馬表明に至るまでの経過をこう明かした。

「無理やり山本太郎が東京8区に侵攻してきた。それは違います。『東京8区でどうでしょう?』。こうお言葉をいただいたのは、実は立憲民主党からです。2019年11月29日です。ずいぶん前でしょう。『山本さんが手を打つなら候補者を下げることもやぶさかではない』と。話し合いに参加したのはうちの党の人間、向こうは政治家でした」

 2年近く前に立民から東京8区から出馬の打診があったというのだ。山本氏はその後も水面下で話し合いを続けていたという。

 9月末に立民の平野博文選対本部長は、野党共闘の候補者調整で小沢一郎氏に協力を依頼した。小沢氏が生活の党時代、山本氏は政党「生活の党と山本太郎となかまたち」の共同代表に就いたこともあり、近い関係にある。その後、小沢氏と山本氏と平野氏と立民幹部らが会談した。

「その時の話し合いでも、山本氏は東京8区から出馬でどうか、という話がでて、概ねそれでいいんじゃないかとまとまり、今の候補者は降ろそう、他党にもそれで調整しようという方向性になった。ただ正式決定ではなかった」(小沢氏に近い関係者)

 だが、山本氏はこの話し合いを「決定」と認識し、それが8日の出馬宣言につながったという。山本氏は立民とのやり取りの音声データもあると主張している。

「山本氏は東京8区から出馬するつもりで、ポスターなど出馬準備までしていた」(れいわ新選組関係者)

 しかし、立民の枝野幸男代表は山本氏の出馬宣言に苦言を呈した。

「困惑している。できれば降りていただきたい」

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山本氏と枝野氏に相互不信も