抗アレルギー薬を食事の1~2時間前に飲んでおくことも一つの手だ。

 また、大もとの花粉症を根治するアレルゲン免疫療法という方法もある。アレルギーの原因となるアレルゲンを少量ずつ体内に入れ、アレルゲンに慣らしていけば、PFASを克服できる可能性がある。

 アレルギーの有無は人によってさまざまだ。さまざまなアレルギーと向き合っていかなければならない人もいる。

 兵庫県在住の女性(40)は20代のころ、食後、下痢や嘔吐を起こすことが多く、知人の紹介で食物アレルギーに詳しい小児科医を受診したところ、複数の食物アレルギーが判明した。PFASもあり、生の果物と野菜全般がダメ。小麦、魚介、牛肉、甲殻類へのアレルギーもある。

 当初は落ち込んだ。だが、発想を転換し、ここぞと思った飲食店には通って仲良くなり、アレルゲンを除いたメニューを作ってもらえるようになった。安全に美味しいものを食べたいと、料理の腕も上がった。食材に関心を持ち、研究熱心な生産者との縁もできた。今では「グルメで料理上手」として知られる。

 アレルギーがあるからといって、食の世界は狭まらない。食べられないものと食べられる方法を正しく知ることだ。(ライター・羽根田真智、編集部・小長光哲郎、井上有紀子)

AERA 2021年10月18日号より抜粋

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小長光哲郎

小長光哲郎

ライター/AERA編集部 1966年、福岡県北九州市生まれ。月刊誌などの編集者を経て、2019年よりAERA編集部

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