イラスト/もりいくすお
イラスト/もりいくすお

 あれから20年経ち、今日の東京の天気は台風で大荒れ。そんな日でも寄席はそこそこの入りで、よく笑うお客様。楽屋で芸人は「今日は志ん朝師匠の命日だね」と……殊更話すことはなく、でもその日のネタ帳を捲ると志ん朝師匠が得意にしてたネタが並んでたりします。それぞれが心のうちで偲んでるのでしょう。

 そんなことを考えながら、なかなか栗剥きがはかどらず、小一時間でようやく二十数個。丁寧に綺麗に剥いた栗で炊いた栗ご飯は美味かった。そんな芸をせねばなぁ、と10月1日に思うのです。

春風亭一之輔(しゅんぷうてい・いちのすけ)/1978年、千葉県生まれ。落語家。2001年、日本大学芸術学部卒業後、春風亭一朝に入門。新刊書籍『人生のBGMはラジオがちょうどいい』(双葉社)が発売。ぜひご一読を!

週刊朝日  2021年10月22日号

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春風亭一之輔

春風亭一之輔

春風亭一之輔(しゅんぷうてい・いちのすけ)/落語家。1978年、千葉県生まれ。得意ネタは初天神、粗忽の釘、笠碁、欠伸指南など。趣味は程をわきまえた飲酒、映画・芝居鑑賞、徒歩による散策、喫茶店めぐり、洗濯。この連載をまとめたエッセー集『いちのすけのまくら』『まくらが来りて笛を吹く』『まくらの森の満開の下』(朝日新聞出版)が絶賛発売中。ぜひ!

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