オリックスからFA移籍して3年目。19年は10勝、昨年は11勝と期待に応える結果を出し、今季も2ケタ勝利は最低ラインだっただけに首脳陣も大きな誤算だ。戦線離脱して復帰のメドは立っていない。エースの座が揺らぎ、今後も先発ローテーションの地位が保証されているわけではない。リーグトップの12勝を挙げている青柳晃洋、2年連続2ケタ勝利の秋山拓巳、9勝3敗と高い勝率を誇るガンケル、左のエースとして期待される高橋遥人、新人で8勝をマークしているドラフト2位左腕・伊藤将司と能力の高い先発選手がそろう。今季はセットアッパーで活躍している左腕・及川雅貴や19年ドラフト1位右腕・西純矢も来季は先発ローテーション入りの期待がかかる。
今年2月の春季キャンプでは、伊藤とドラフト3位の佐藤蓮がトレーニング器具を雑に扱ったり落ちているゴミを無視したとして、西がその態度を叱責したことが在阪メディアに大々的に報じられた。後輩の教育役を買って出たのも投手陣を引っ張るリーダーとしての自覚の芽生えだろう。だが、最も求められるのはエースとしてのパフォーマンスだ。シビアな世界であることは西が誰よりも体感している。阪神ファンの信頼を取り戻し、「エース復権」の日は来るか。(松木歩)