農村地帯においては、コロナ禍による外食産業の営業自粛で、業務用野菜の需要が激減。さらにコメの値下がりが見込まれ、減収を心配する生産者の不満が高まっている。野上氏がこう予測する。
「160万票とされる農民票の自民党離れが加速する可能性があります。農家の反乱は東北のみならず、米作地帯の北海道や北信越にも広がるかもしれません。政府の対策は後手に回っており、衆院選を前に慌てて支援策に乗り出しています」
■関東
北関東は、群馬4区では自民の総務会長に抜擢された福田達夫氏が堅調だ。群馬5区は組織運動本部長に就いた小渕優子氏も敵なしの状況。
立憲の枝野幸男氏は地元・埼玉でどれだけ仲間を勝たせられるかが正念場となる。前回は15選挙区のうち自民が12選挙区を制したが、今回は圧勝とはいかないようだ。5区の枝野氏のほか、6区の大島敦氏、7区の小宮山泰子氏らが安定した戦いを見せている。1区の自民・村井英樹氏は前回、立憲の武正公一氏に約3万票差をつけて当選した。だが、今回不出馬の共産候補が約3万3600票を集めており、武正氏に上乗せすると逆転する。
神奈川は、麻生自民党副総裁の側近として知られる1区の松本純氏が注目される。緊急事態宣言下に銀座のクラブに繰り出した“銀座3兄弟”の長男格。自民を離党し、無所属で立つため比例復活を当てにすることもできず、苦戦を強いられることになりそうだ。
11区の小泉進次郎氏は、総裁選で河野太郎氏を支持したことで、岸田文雄政権では当面、冷遇か。ただし、選挙では相変わらず盤石のようだ。
「環境相として実力不足が露呈して、評価を落としました。レジ袋の有料化にはプラごみ削減の効果はないと自分で認めてしまった。強固な地盤に守られ、地元でちやほやされて厳しい審判に晒されない。政治家として伸びないのは、そのせいではないか」(角谷氏)
首都・東京では「石原兄弟」の当選に黄信号がともる。3区の宏高氏は前回、立憲の松原仁氏に約1万3千票差で逃げ切ったが、約4万5千票を取った共産が立候補を取り下げると、形勢は一気に逆転する。