個性派俳優・佐藤二朗さんが日々の生活や仕事で感じているジローイズムをお届けします。今回は、さまざまな人と似ていると言われることについて。
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コレ、前にも書いたかな。ごめんなさい覚えてない。まあしかし仮に同じテーマで書いたとしても、全然違う文章になるでしょうからとりあえず書き始めます。
昔からですが、僕、本当にいろんな人に似てると言われるんです。
桜金造さん、ジミー大西さん、朝ドラ「まれ」の子役(小山春朋くん)、弁当箱、電話ボックス、あぜ道、便器、便座…。
ちょちょちょちょ。ちょちょちょちょちょちょちょ。どうした?途中からどうした?「弁当箱」以降、急激にどうした?「あぜ道」に似た人間とは一体?そしてなんで「便器」と「便座」に分けた?
すみません取り乱しました。自分で書いて取り乱しました。ただ、「弁当箱」以降もすべて実話です。いや実話って、僕は弁当箱や便器ではありませんが(←当たり前)、妻が実際にすべて言ったんです。「君、あぜ道に似てるね」「君ってさ、電話ボックスに似てる」「君の顔、便器だね」
少し文字が涙で霞んできましたが、そして便器を亭主にした妻が不憫でなりませんが、まあ妻の発言は愛情表現の一環として(いいからとりあえずそういうことにしといてくれよ頼むから)、いやホント僕、昔から本当にいろんな人に似てると言われるんです。
中学生の時、新任の先生が教室に入ってきて、僕の顔を見るなり、
「三越!三越じゃないか!」
と、嬉しそうに叫んだことがあります。
「いや~、偶然だなあ。三越もこの中学に転校してきたのかあ」
新任の先生は嬉しそうに、そのあとも結構な尺を使って三越の僕に話しかけました。
誰しも新たな環境は緊張するものです。新任の先生にしたら、自分と同じく、この中学を新たな環境としてスタートさせる三越の存在がよほど心強かったのでしょう。