低迷する若者の投票率を上げようと、俳優ら著名な若者たちが立ち上がった。 従来の方法では響かない。SNSや言葉遣いなど、きめ細かい工夫がされている。AERA 2021年11月1日号から。
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「私も投票します」
14人のミュージシャンや俳優がそう呼びかける動画が、10月22日時点で52万回以上再生されている。「VOICE PROJECT 投票はあなたの声」。政府や企業とかかわりのない市民プロジェクトだ。
その動画で歌手のコムアイさん(29)はこう話す。
「とにかく若者の、わたしたちの世代の投票率がすごく低い」
「その世代が軽んじられるということだから、政治で。政治をウォッチしているよっていうことをアピールする」
前回衆院選の20代の投票率は33%台で、60代の半分以下。この若者の投票率について語る理由をメールで寄せてくれた。
「私も20代前半で、投票に行かない時期がありました。行っても意味がないと思う気持ちもとてもわかるし、自分がやるべきことはもっと他にあるような気もしていました」
それでも投票に行ったのは、ある気づきがあったからだ。
「政治家たちは投票率でどの世代の意見を重視した政策を打ち出すか見ている。若者がないがしろにされない政治、たとえば奨学金制度の充実や若者の最低賃金、労働環境、ひとり親の支援、LGBTQへの偏見改善などを求めているなら、投票率で示すことが大事だと思います。実は投票行動そのものよりも、各党の政策に対して議論が盛り上がることのほうが大事かなと思っています」
海外の事例を見て、思うところもある。
「SNSはその活用に適していると思います。今後は欧米のように党名もしっかり出しながら投票行動を促すような動きも活発になっていくのかなと思います」
■風通しのいい状態に
発起人の映画監督、関根光才さん(45)はこう語る。
「投票率の低さに問題意識を持っていました。加えて、政治や宗教の話はタブーという空気感があります。そうした息苦しさを風通しのいい状態にしていきたいと思っていました」
同じく発起人のプロデューサー・菅原直太さん(56)も言う。