今季開幕すぐの4月16日、米大手スポーツメディア『スポーツ・イラストレイテッド』系の『インサイド・ピンストライプ』は、「田中将大を手放したことはヤンキースにとって大きな間違いだった」と題し、開幕直後からつまずいていたヤンキースの先発投手陣に落胆し、「田中を連れ戻すことができていれば、この穴の1つを埋めることができたのだが」と嘆いた。また、ヤンキース専門メディア『ピンストライプ・アレー』は今季終盤の9月15日、「田中は今年違いを生む男になっていたかもしれない」という記事を載せ、「先発ローテーションの中に、もう一人安定した投手(田中)がいれば今季は大きく違っていたかもしれない」と嘆息を漏らしている。

 このように、現地メディアの間でわき起こる「今すぐ田中をヤンキースに連れ戻せ」という訴えは、ワイルドカードゲーム敗退以降さらに広まっている。

 前述の『NJ.com』の記事もその1つであるが、他にも野球専門メディア『リフレクション・オン・ベースボール』は、「もしヤンキースが田中将大に接触していないのなら、今すぐにすべきだ」という記事を載せている。

 記事には、「ヤンキースは、コールの家に直接訪問して、コール夫妻のお気入りのワインと共にチーム残留を求めた」と書かれ、「ヤンキースは、田中にもコール同様に誠意を見せるべきだ」という主張がされていた。さらに、「ヤンキースは2年5000万ドル(約57億円)を提示して、田中からそれ以上の要求があれば、それに従うべきだ。また、もし、田中がアメリカで不安があるとなった場合に備え、いつでもオプトアウト(契約破棄)ができる権利を含むべきだ」と、契約内容についての提言もされていた。

 これらの記事からも分かるように、ヤンキースの地元では今でも田中のチーム復帰がかなり熱望されている。しかし、もし田中がメジャーに再び戻ったとして、これまでと同じような活躍はできるのだろうか。

次のページ