街頭でマイクを握り、有権者に支持を訴える候補者(C)朝日新聞社
街頭でマイクを握り、有権者に支持を訴える候補者(C)朝日新聞社

 だが現状のマイナポイント事業には、疑問の声があがっている状況だ。今月11日に開催された財務省の財政制度等審議会の分科会で、8月末時点でカードの申請率は全国民の40%にとどまっており、マイナポイントによる普及効果は「限界がある」と指摘されていた。

 政府関係者の資料では、この指摘に触れた上で、公明党の公約について「政策目的と手法がチグハグな安易な政策。単なるバラマキで終わる可能性大」と厳しい評価だ。

 一方、野党・立憲民主党は「税率5%への時限的な消費税減」、「個人の年収1000万円程度まで実質免除となる時限的な所得税減税」など魅力的な政策を掲げる。

 これに対しても、

「計15兆円~20兆円を『国債発行』で賄う方針だが、将来世代への負担となる赤字国債で現役世代の減税や現金給付を賄う手法は、『将来世代に過度な借金を押し付けない』とする党の方針と矛盾した無責任な政策」

 と辛らつだ。

 大胆な政策を掲げるのが、報道各社の世論調査で議席を伸ばすと予測されている日本維新の会だ。消費税や所得税の減税などとともに、「給付付き税額控除またはベーシックインカムを基軸とした再分配の最適化・統合化を本格的に検討」と独自色を出している。

 ベーシックインカムとは、全国民に現金を一律支給する制度のこと。最低限所得保障制度とも言われる。全国民に無条件にお金を配るため、多額の財源が必要となる。政府関係者の資料では「毎月7万円を国民に配れば、年間105兆円が必要(国の2021年度予算(106・6兆円)と同規模)」とある。

 これに対する評価は「財源を所得税で賄おうとすると、税率48%とする必要あり」、「『働き者が損をする、働かざるものが得をする』社会をつくるモラルハザードを引き起こしかねない重大な懸念」とこちらも厳しい見方をしている。

 各党の公約を、専門家はどう見るか。元財務官僚の小黒一正・法政大教授(公共経済学)と、政治・行政の現場に詳しい選挙アナリストの岡高志さんに評価を依頼した。

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