「それまではバンドサウンドが中心だったんですけど、打ち込みで作った『konichiwaTempraSushiNatto』の評判がよくて、SNSでも拡散されて。3月にTikTokをはじめてからはライブをやらなくなって、気がつけば“ネットのミュージシャン”として振る舞うようになりました」
TikTokに活路を見出そうと、「1日8時間くらいTitTokを見続けて、傾向を探ったこともありました(笑)」というmeiyo。“SNS発のアーティスト”は、00年前後に生まれたZ世代が中心で、現在30歳のmeiyoはその世代よりも一回り上。「歌ったり踊ったりしている動画を投稿する若い人たちの気持ちは正直、わからないですね」と笑う。
そう、「なにやってもうまくいかない」がバズったのは、TikTokで流行りそうな楽曲を研究しただけではなく、彼自身の経験や感情をそのまま歌い、その率直さに多くのリスナーが共感したからだろう。
■「うっせぇわ」がヒットする時代の潮流を意識
じつは「なにやってもうまくいかない」が生まれた背景には、Adoの「うっせぇわ」の存在があるという。ポイントは二つ。まずは「包み隠さず、自分を表現する」という姿勢だ。
「『うっせぇわ』の作詞作曲をしたsyudouさんが、テレビのインタビューで“カッコつけて(本心を)隠すのをやめた”みたいなことを話していて。僕もそれまでは歌詞のなかでダイレクトな言葉を使わないようにしてたんですけど、“1回、自分のことをそのまま書いてみよう”と思って作ったのが『なにやってもうまくいかない』だったんです」
もう一つのポイントは、溜まりまくった不満をストレートに歌った「うっせぇわ」が受け入れられる社会の雰囲気だという。
「『うっせぇわ』があれだけヒットしたという事実は、かなり意識してましたね。もちろん、僕の歌が多くの人に聴かれているのも、コロナ禍による重いムードやみんなの心に溜まったうっ憤みたいなものが関係していると思います」