巨人・原辰徳監督 (c)朝日新聞社
巨人・原辰徳監督 (c)朝日新聞社

 今年のペナントレースは誰もが予期せぬ展開となった。前年最下位だったヤクルトオリックスが共にリーグ優勝。前年最下位のチームが両リーグ優勝するのは史上初だった。シーズン前、両球団の前評判は決して高くなかった。なぜ頂点に立てたのか。

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「ヤクルト・高津臣吾監督、オリックス・中嶋聡監督に共通していることは長期的視点でチーム強化を見据え、選手が一本立ちするために『我慢』していることです。例えば、ヤクルトは高卒2年目・奥川恭伸を中10日の登板間隔を最後まで狭めなかった。好調な時期に間隔を詰めて使いたい気持ちはあったと思いますが、高津監督はそれをしなかった。高橋奎二、原樹理もそうです。本来のパフォーマンスを発揮させるために、登板間隔を空けて起用していた。オリックスは山本由伸、宮城大弥の両投手で計31勝を稼いだのが非常に大きかったですが、中嶋監督の手腕も見逃せない。高卒2年目の紅林弘太郎が手痛いミスをしても遊撃で我慢強く使い続け、無名だった杉本裕太郎を4番に据えて大ブレークさせた。その場しのぎの起用法でないからチームに本物の力がついた印象を受けます」(スポーツ紙デスク)

 両球団と対照的に、豊富な戦力を擁しながらシーズン終盤に大失速したのが巨人だった。8月下旬から先発陣の登板間隔を中4、5日に詰めたが結果的に失敗に終わり、電撃トレードで獲得した中田翔も機能せず。エース・菅野智之、主軸の丸佳浩の不振も響いた。3位でのCS進出を決めたが、2018年以来3年ぶり通算9度目のシーズン負け越しとなった。

「先発陣の登板間隔を詰めたのは宮本和知投手チーフコーチの発案と報じられましたが、最終的に決断したのは原監督です。シーズンはまだ2カ月以上残っていたのに、登板間隔を詰めてスパートをかけるのはどう考えても厳しい。投手の体力が最後まで持たないですよ。打線も若手で台頭したのは松原聖弥ぐらい。個人的には吉川尚輝を二塁のレギュラーとして我慢強く使った方が良いと思いますが…。打撃不振の中田翔が使われ続けていましたが、これは高津監督や中嶋監督の『我慢の起用法』と意味合いが違う。『実力主義』でなく、『実績主義』で起用している印象を受けました」(前出のスポーツ紙デスク)

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